中小企業の業績悪化のパターンと企業再生③ - 赤字脱却にはコスト構造の改革が不可欠
2013/02/11|ビジネスコラム
赤字脱却には、コスト構造の改革(ビジネスモデルの再構築)が不可欠
そうすると、多くの中小企業が苦しめられているこの赤字体質から脱却するためには、どうしてもコスト構造の改革(ビジネスモデルの再構築)や、事業の再構築(リストラクチャリング)が必要になってきます。
コスト構造の改革とは、前述の豆腐屋さんの例で言えば、以下のような取組みのことを言います。
- 豆腐1個売った時の儲けを増やす。
つまり、材料代や、製造のための人件費・機械代・燃料代などを減らせないか検討します。 - 少ない儲けでも赤字にならなくする。
つまり、役員の報酬や販売や管理のための費用(例:事務員さんの人件費、接待交際費、家賃など)を減らせないか検討します。 - 上記の両面を実施する。
- 上記1.~3.を検討しても、どうしても採算が合わなければ、違う(新たな)事業を検討する。
このような取組みをしない限り、環境変化の大きな好転がない場合には、赤字体質(儲からない仕組み)からの脱却は困難と考えるのが一般的です。
それほど今の経営環境は厳しいのです。
一方、中小企業の場合は取引先に対する販売価格のアップの交渉は、中々難しいものと考えます。(勿論、提案営業やコストの説明などを行ない、チャレンジすることは結構と思いますが)
中小企業が、まず取り組むべき現実的な対応は、コストの削減です。
赤字脱却体質からの脱却に向けて、経営者は決断を
しかし、残念ながらそうした取組みに着手せずに(できずに)、赤字脱却に手をこまねいている中小企業が非常に多いのが現実です。
つまり、このような取組みは、口で言うのは簡単なのですが、現実には簡単ではないのです。
実現するためには、知恵と勇気と多くのエネルギーが必要になります。
経営者が本気でやり抜く決意がないとできないのです。(←最もこれが重要です)
私は金融機関主催の経営相談会などの場で、中小企業の経営者様とお話をさせていただく機会が多いのですが、最も力を入れているところは、経営者様に”決断”をしていただくことです。
あるいは、決断する勇気を持っていただくことです。
赤字に陥っている多くの企業の経営者は自信をなくしています。
(私にはそのように見えます。)
そして、このような経営者に共通していることは、非常に真面目なこと、そして人柄が良いことです。
従業員さんの給与(賃金)を引下げたり、外注先に値下げお願いしたり、仕入先を変えたりすることが中々できずに、赤字からの脱却ができていないのです。
このような経営者の方に私は敢えて言います。
「会社がなくなれば、全てが終わりです」
「会社を継続させることが、従業員を、お客様を、家族を守ることなのです」
「本気で、やればできますから、やりませんか!」と。
このようなことを言い、何とか前向きな行動をとっていただくように、”決断”をしていただけるように努力しています。
経営者に不退転の決意がなければ、何にも前に進みません。
そして、実行を確実にすることです。
極端な話、寝なくても実行するしか道はないのです。
経営者が本気で取り組めば、社員さん、お取引先、金融機関など色々な方が協力してくれるはずです。
本気でなければ、周りの人たちも様子見や、協力している振りなどをするだけで、結果、何も変わってはくれません。コストも減らないのです。
最近、金融機関が融資先(中小企業)にその作成を求める経営改善計画書等をよく見させていただきますが、魂(経営者様のやる気)の入っていない経営計画書を労力をかけていくら作成しても全く意味のないものとなります。まさに、絵に描いた餅です。
繰り返しになりますが、最も大切なことは経営者の”決意”です。
会社の存続のために、何が何でも経営改革を断行するんだという”不退転の決意”です。
その後、それを具体的に実行するための経営計画が必要になってくるのです。