中小企業の業績悪化のパターンと企業再生⑤ - コスト削減の具体的な手順と方法
2013/02/11|ビジネスコラム
コスト削減の具体的な手順と方法
では、コスト削減の手具体的な手順や方法を述べていきたいと思います。
一口にコストといっても色々とあります。
まず、売上高の増減とともに変化する変動費(例えば原材料費や、残業代など)、それから売上高の増減にかかわらずに固定的に発生する固定費(例えば、社員の給与のうち基本給や、事務所の賃借料など)に分類できます。
また、売上原価、販売費および一般管理費、営業外費用、特別損失など損益計算書上の項目で分類することもできます。
いずれにしましても、コスト削減で大切なことは、”聖域はない”と言うことです。
変動費であろうが、固定費であろうがムダなモノは徹底的に見直すことです。
それから、会社が危機的な状態にある場合は、ムダではなくても会社の存続のために
必要であれば、見直すことも有りうるのです。
売上原価の削減策
小売業であれば、商品の仕入原価。
製造業等であれば、製品の製造するためにかかった製造原価(製造にかかわる従業員の賃金や、水道光熱費なども含みます)のことです。
これらの原価の悪化の要因は様々です。要因を細かく分析することも重要です。
悪化と言っても、単に仕入価格が高くなっているだけでは、悪化しているといえない場合があります。
この場合、売上高に対する原価の割合(つまり売上高原価率)が高まっていれば悪化している。そうでなければ、悪化してはいないと考えます。
(※あくまで利益を上げることが目的ですので)
売上高原価率(原価/売上高)の悪化要因は大きく分類すると、次の2つに分けることができます。
①原価額(同じ販売単位に対する原価額)が高まった
②販売単価(同じ原価で製造した製品の販売単価)が低くなった
(1)①の原価額が高まっている場合のコスト削減策
【小売業の場合】 ~ 仕入価格を低下させるために
- 仕入先の見直し
- 複数の仕入先から合い見積りをとる
- 商品構成を利益率が高い商品に切り替えて行く など
【製造業等の場合】 ~ 製造原価を低下させるために
- 材料等仕入の見直し(仕入先の見直し、合い見積り、海外からの輸入など)
- 労務費の見直し(人件費の見直し、時間外労働の削減、賞与減額など)
- 外注の見直し(外注先への単価引き下げ要請、外注先の新規開拓、内製化など)
- 燃料代の節減
- その他経費の削減
(2)②の販売単価が低くなっている場合の方策
【小売業の場合】
- 販売価格の値上げ
- 付加価値が高い商材への品揃えの見直し など
【製造業等の場合】
- 原価等の説明を行ない単価の据置、または値上げを交渉
- 付加価値が高い、希少性が高い製品への製品構成の見直し など
※ 販売単価が低くなっている要因は、一般的には、デフレや価格競争、あるいは大手企業からの一方的な価格引き下げ要請などが背景にあるため、中小企業が実効性を得るには中々ハードルが高いといえます。
まずは、社内で取組み安い(1)の原価額が高まっている場合のコスト削減策の実施から取組むことが優先されます。