ビジネスコラム

中小企業も資産のリストラで経営の効率化を

2013/02/11|ビジネスコラム

グローバリゼーション、アジアの新興国の成長、IT化などの影響を受け、日本の産業構造は大きく変化してきています。 こうした中、かつて隆盛を極めた企業も事業の構造転換を迫られ、その実行が急務となっています。 代表的な例では、カメラ・メーカーが複写機や胃カメラなどを作ったり、印刷会社がデジタル・エレクトロニクス分野へ進出したりしています。
一方で、国際競争力を維持するために、国内工場を廃止し海外移転も進んでいます。

 

そうした中で、中小企業においても、産業構造の変化に対応した事業の転換、および会社資産やコストの変革が求められています。
コストの変革(経費削減等)については、「中小企業の業績悪化のパターンと企業再生」で書かせていただきましたが、本稿では資産のリストラについて書かせていただきます。

 

実は、中小企業においては、資産のリストラが遅れている、あるは全く手つかずという状況も目立ちます。
これが中小企業の収益性、効率性を阻害している場合も多いのです。

以下は、典型例です。

某機械製作メーカーは、15年前には売上高(年間)が約10億円であり、機械を製造するための広い工場(土地・建物)などを中心に約10億円の資産を保持していました。

 

現在は、得意先である大手メーカーの事業の縮小の影響を受け、売上高(年間)は機械のメンテナンスを中心に3億円程度(ピーク時の30%)となってしまいました。
(※機械の生産は、ほとんどない状況になってきています。)

 

売上の低下にともない、人員の合理化による人件費の削減、その他経費(コスト)の削減等の努力を行いながら、 何とか赤字にはならないように経営を行っています。

 

しかし、資産である土地・建物は、売却等何ら手をつけていない状況で、工場の大半は全く活用されていないのが現状です。
また、約20年前に社員の社宅用に購入した不動産は、現在は社員が誰も住んでおらず、町の不動産屋を通じて一般に賃貸しています。

売上高と資産のバランスをとり中小企業は経営効率を高めるべき

この様な会社が実際にあるのですが、こうした会社は、売上高(3億円)と資産(10億円)のバランスが非常に悪い状況といえます。
以前は、10億円の売上高を稼ぐために、10億円の資産(機械、土地建物など)が必要でしたが、現在の売上高は3億円であり、こんなに多くの資産は本来必要ないのです。

 

こうした不要な資産は、何がデメリットかというと、まずは、資産を持っている結果として、借入金が存在し支払利息が発生することです。また、固定資産税等の税金支払いが発生する場合があります。さらに、その資産を管理するためには人手が必要となり、様々な管理コストが発生します。
それから資産の値下がりリスクもあります。

 

会社経営の理想を言えば、最小のコストと、最小の資産で、最大の利益を生み出すことです。

 

勿論、固定資産は、売却時に譲渡益が出れば、税金が発生する場合もありますので、税理士など専門家から意見も聞きながら、ある程度長期的な視点で取り組むことが必要です。

 

中小企業においても、経営環境の変化に合わせてコスト(経費)だけではなく、資産についても売却等リストラクチャリングし、結果として借入金を圧縮していくことが、経営効率(資産効率)を高めるという意味では重要なことです。

 

経済が上り調子の時と比較して、現在の日本の経済環境では経営の舵取りは非常に難しくなっています。常にあらゆる角度からの経営改善の実施が求められています。

西山真一
(資格) 社会保険労務士、中小企業診断士、ターンアランド・マネージャー他
いかにして人や企業の本当の力(潜在能力)を引出し、今以上のパフォーマンスを発揮していただくことにより、経営理念の実現や業績向上・組織活性化・人と企業の成長などのお手伝いができるかが、コンサルタントの仕事だと考えます。
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